教養卒論って?
僕が所属する東京工業大学には、3年生の後期に教養卒論という授業があります。教養卒論における課題は以下のようなものです。
自分の専門分野やこれまで学修してきた教養や様々な経験を題材にして、その社会的な意味や影響といった主題を自ら設定し探究する論文を(日本語の場合は)5000~10,000文字で書いて下さい
つまり、テーマは自分で好きに決めて良いからそれについて5000字書けよーってことです。実際過去の優秀論文なんかを見ると、テーマは人によってバラバラでした。アニメやゲームなど自分の趣味について語っている方もいれば、自分の専門分野のことを真面目に書いている方もいます。
6年間キューブをやってきたんだからこれはもうキューブについて書くしかないですよね?ということで書きました。(ちなみに本文中に7年と書いてますが、これは僕が引き算できなかっただけです。)
大学垢から来た方へ
申し遅れました。鉄Cuberという名前でキューブ界隈にいます。一応クロックという種目で日本3位だったり、4x4x4目隠しという種目で日本4位だったりします。ルービックキューブの知識が無くてもある程度読めるように努力したので、せっかくこの記事にたどり着いたなら読んでいってください。
授業を受けての感想
東工大生からは悪名高い教養卒論ですが、個人的には楽しかったですよ。先生の機嫌取りたいとかじゃなくて本当です。まず、どのようにすると分かりやすい文章が書けるか、引用はどのようにするべきか、といった座学の授業がありした。そして、ピアレビューといって、同級生と文章を読み合ってより文章を良いものにしていくというパートがありました。
僕の担当の先生はとても話が上手だったので、座学は面白くてためになりました。ピアレビューも、自分が好きなことについて書いた文章を読んでもらうのは結構嬉しいものです。
自分はいわゆる小学校から高校までの国語の授業は苦手で嫌いでした。しかし、自分で文章を書くという行為は好きなんですよね。特に今回は自分の趣味についてなので筆がどんどん進みました。
テーマ決め
ルービックキューブについて書くことは確定だとして、テーマをどうしよう。自分が普段やっているのは、いわゆる速解きです。早く揃えるために数十~数百という手順を覚え、反射的に回せるようにします。初心者向け解法も、これへの導入が多いです。しかし、ルービックキューブを初めて揃えられるようになった人が、「なんか思ってたのと違う」と感じるのも事実。そこで、ルービックキューブを手順を覚えずに理論的に解く方法を紹介しようと思い立ったわけです。
アウトライン決め
さて、ルービックキューブを理論的に解くにはコミュテーターが有名です。コミュテーターの理論を使うと、ルービックキューブの一部のみを交換する手順を作ることができ、揃えることが非常に簡単になります。しかし、これを自分なりのアプローチで説明したいわけです。
そのため、まずはパーツに番号を振り、ルービックキューブの構造を明確にしようと思いました。これにより、起こりえない状況(エッジキューブのみの2点交換など)が説明できます。そして、コミュテーターの理論は既に確立されていることは明確にした上で、先ほどの理論を用いてパーツの3点交換ができることを証明しました。
最後に、目隠し競技で使われる3-styleという解法を参考に、ルービックキューブを解く方法を説明しました。
教養卒論の本文
5000字~10000字程度ということになっていますが、これより多い分には問題ないと言われたので、好きなだけ書きました。結果、Wordで18000字になってしまいました。一連の数式が1文字扱いになっているので、実質的には多分もっと多いです。
多分ツッコミどころは多いと思います。なんでこんな数式を多用しているのにTeXじゃないのかとか、群論勉強しろよとか。ですが、この文章も僕レベルの知識で書いた結果ということで、これはこれで良いじゃないですか(適当)。ということで、眺めるだけでも良いんで読んでいってください。
おまけ(大変だった点などを適当に)
群論がわからない
なんかルービックキューブって群論と結びつきが深いみたいなんですよ。ですが僕は数学系ではないので、1年生の線形代数や微分積分学の知識で止まっています。これを機に勉強しても良いんですが、僕以外も数学系でなければ群論は詳しくないと思うので、線形代数の知識でゴリ押しました。面倒くさかったわけではないです。決して。
位置と向きを分けて考えると難しい
ルービックキューブの一般的な性質を探る上では、位置と向きを分離して考えた方が良いのですが、この理論だとコミュテーターが分かりずらい...。なんとかこの理論でゴリ押して証明し、最後にステッカー単位でのコミュテーターとも捉えられますと説明しました。
Wordの数式だるい
数式多用する文章だとTeXの方が良いんですが、テンプレがWordだったのと、TeXにあまり慣れてないのでWordで書きました。ちなみにTeXで書いてる人もいました。
論文の体裁
自分で言うのもあれですが、論文の体裁は、結構できている方だと思います。必修ではない実験の授業をとって、レポートを苦労して書いた経験が役に立ちました。
全く知らない人に説明するのって難しい
言われたのは、専門分野の違う東工大生に説明するつもりで書いてくださいということです。つまり、読み手はルービックキューブのことを知りません。なので前提知識がなくてもわかるように書きました。キューバーにとっては当たり前のことでも、非キューバーにとっては全然当たり前じゃないということを痛感しました。まあそれでも内容が煩雑なので難しいのですが...。
ところでこの記事の最初に「キューブの知識が無くてもある程度読めるように努力したので」と書いてますができてますかね?できてないですね。
パラグラフライティングとかなんとか
どうしても文章を書くときって一文が長くなりがちだと思うんです。ですがそのような文章って読みにくくて、分かりづらいです。あとは1つの段落で話題があっちこっち変わったりして何が言いたいのか分からない文章も読みにくいですね。
そこで、パラグラフライティングといって、分かりやすい文章を書く方法を座学で学びました。聞くとまあそうかと思えるんですが、これが意外と難しい...。でもいい経験にはなったと思います。
ちなみにこの記事はあまりパラグラフライティングができてないと思います。読みづらくてすみません。好き勝手にものを書けるラフなブログ記事でそこまで推敲する気力はないです。