Clockで上達するためのTips

最近日本のClock界は盛り上がりを見せています。そこで今回はClockで速くなるための知識をできるかぎり詰め込みました。この記事に書いたことが完璧にできれば、sub6は容易いでしょう。

しかし、あくまで僕の意見なので、人によっては違ったやり方をしている場合もあると思います。他の速い方の意見も聞きつつ、取捨選択して頂ければ幸いです。

解法

Tommyの7-simulを使いましょう。7-simulにもいろいろなバリエーションがありますが、速さに関してはTommy式が最強です。

note.com

開始面の選び方

開始面は8通りの中から選ぶことができます。開始面を選ぶ際に注目するポイントとしては、以下のようなものがあります。

①M1 (左下ダイヤルで回す部分) が少なくなるように

②M1の裏側 (右下ダイヤルで回す部分) が少なくなるように

③M4 が少なくなるように

まず①M1ですが、記憶して回す必要がある上に下側のダイヤルなので、これは少なくさせたいです。

次に②M1の裏側です。右下ダイヤルは記憶文字ではなく見て回すパートですが、これはM1の2つの針があるちょうど裏側の針の差を見ることでも分かります。見て回せるものの、こちらもできれば少なくしたいです。

最後に③M4です。上2つ以外の数字の中でもM1と同じ面にあり、確認しやすいからです。

個人的な優先順位としては①<②<③あるいは①<③<②です。これだけだとわかりずらいので例をあげましょう。

以下の例では、開始面の選び方を分かりやすくするために、いかのおすしさんの記事やTommyの動画と同様に針の位置に名前をつけます。ただし、これは7simulの解説で使われるように開始面を選んだうえでの位置ではなく、スクランブル後の面を基準とした時の位置です。

(どちらの面も上が12時)

 

例1: UR4- DR1- DL2- UL4- U1+ R1- D5- L6+ ALL3+ y2 U4- R4- D4+ L2- ALL3-

cとdの差が0で、他は1すらありません。なのでこれをM1にします。

 

例2: UR5+ DR1- DL0+ UL1- U3- R3- D3- L2+ ALL1+ y2 U3+ R1+ D3- L3- ALL6+

真ん中との差が1のエッジがたくさんあります。その中でも、CとLに関しては、その裏側(cとr)も差が1なのでこれを採用します。さて、表裏どちらをM1にするかですが、表面の場合はM4の絶対値が2、裏面の場合はM4の絶対値が5になるので表面の方が良さそうです。

また、このスクランブルに関しては他の選び方も考えられます。差が1のものの中でcとlをM1にすると、その裏側は差が3になってしまいます。しかし、M4が0になってくれるのでこちらの方が良いかもしれません。

(※この場合はM2やM3も0になりますが、開始面を選ぶ段階で気にするのは難しいので、考慮しないものとします。)

 

このように、どのような基準で開始面を選ぶかは好みによって変わります。どれだけDの動きを避けたいかなど自分の感覚と相談してください。

分析と記憶

基準面探しに1~4秒、M1~M6の計算に6~8秒が理想です。計算が速くなればなるほど、基準面探しに余裕ができます。しかしこのレベルになるには5000回程度はソルブする必要があるでしょう。

記憶ですが、数字のままではなく文字に変換して覚えることをおすすめします。特にM5やM6は計算が複雑なので、計算途中の数字と既に覚えた数字がごっちゃにならないようする必要があります。

M1とM2、M3とM4、M5とM6はそれぞれ同時に回すので、ペアにして覚えます。6文字しかないので音記憶できそうですが、計算すると既に覚えたものが飛ぶのでレターペアを用いています。

M6は計算が複雑で、計算している間にM5が飛ぶので身体記憶を使っています。僕が使っている身体記憶の方法はこちらを参照ください。

ironcuber333.hatenablog.com

文字で覚える、レターペアで覚える、身体記憶を用いるといった工夫は、記憶を飛びにくくするための工夫であり、こうすると分析時間は長くなってしまいます。しかし、これらを用いても計算速度を上げれば15秒は十分切れるので問題ないと思っています。(後述するように記憶文字を増やす場合はこの限りではありません)

指使い

ピンを下げる際は親指、上側のピンを上げる際は中指、上げる際は薬指を使います。まあこれに関しては自然とそうなると思います。上側のダイヤルは人差し指で回し、下側のダイヤルは小指で回します。小指で回すのはかなり難しいので、練習を要します。

また、リグリップの概念も考えられると良いかもしれません。たとえば+5の後に同じ指で+5を回すのはリグリップが必要ですが、+5の後に-5はそのまま回せます。タイマースタートの時などの短い間で良いので、記憶文字パートをどのように回すか想像できると良いです。また、6の場合は+6と-6を使い分けることでつながりをよくすることができます。たとえば+5の後に6のがある場合、この場合は+6ではなく-6と回すと良いです。

同時回し

見ながら回すパートでは、回す目標(伝われ)が左右どちらも同じですし、やっていれば勝手に身につくと思います。問題は記憶パートの同時回しです。狙った数字を回すために、いくつか方法が考えられます。

①手の感覚

②目視

③音

③の音ですが、同時に回すと音が同時になってしまうため、避けるべきだと思います。理想的なのは①の手の感覚のみで回せることですが、数字が大きくなると難しくなります。そのため、②の目視をうまく使うと良いです。目視といっても、針が動いている様子を見ながら数えるのではなく、瞬時に針が行くべき位置を計算し、そこに向かって回す感じです。慣れると、2箇所について瞬時に計算できるようになります。前のステップで先読みをしたり、ピンを動かしている間に読むことで、この方法でもほぼ止まらずに回すことができます。もちろんこの方法のみを使うだけでなく、数字が小さいものは手の感覚で回すなど、うまく使い分けられると良いです。

記憶文字を増やす場合

Tommyの7simulでは、M1、M2、M4、M5、M6の5つは最低限覚える必要があります。そして、M4と同時回しするM3も覚えていた方が速く実行できるため覚えることになっています。これと同様に、他のパートの数字も覚えることができます。計算式は以下の通りです。

Step3

左上ダイヤル: (d to r) + (UL to L) 

右下ダイヤル: (C to U)

Step5

左上ダイヤル: (C to D)

右上ダイヤル: (DR to R) + (u to l)

Step6

左上ダイヤル: (D to R)

右上ダイヤル: (l to u)

Step7

左上ダイヤル: (R to D) + (l to ul)

右上ダイヤル: (u to c)

 

理論上はこれらをすべて計算できれば、目隠しをしても揃えられる状態になります。全てはできないにしても、たとえばStep3を計算すると、Step4まで暗記パートとして回せます。

ですが個人的にはあまり効果が見込めないと思います。というのも、記憶した数字を回すよりも見て回す方が簡単だからです。もっと言うと、先述の通り、記憶パートでも目視で回す先を定めつつ回すことになります。これは実質見ながら回すことと同じです。

よって、これらを記憶することは事前にだいたいどれぐらい回すか確認する程度の役割しか持たず、インスペクションタイムを超過するリスクを背負いながらこれらを計算する意味があるかと言われると微妙なところです。

記憶文字を増やすかどうかの判断は、インスペクションが余裕で間に合うようになり、記憶文字を正確に回せる自信のある方が、自分のソルブスタイルと相談しながら決めるぐらいで良いと思います。

練習法

スピードアップを求める場合の回し方と、安定を求める場合の回し方は違うと思います。

地力を上げたければ、なるべく攻めて回しましょう。攻めると成功率が下がったり、ミスによりかえって遅くなったりしますが、それでも攻めることが重要です。

一方大会で安定した記録を求める場合や、大会前の練習では、正確に回すことを意識しましょう。落ち着いて回せるのでミスがなくなり、普通に良いタイムが安定して出ます。

最後に

はい、僕がClockについて思っていることは全て書いたつもりです。Clockが速くなりたいという方へのヒントとなれば幸いです。