全シュモクザメへの道

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2023の10日目の記事です。

昨日の記事はらいひーさんの「メガミンクス」でした。明日の記事はいかのおすしさんの「パズルと数学の話」です。

 

こんにちはOHを中心に全種目やっている鉄Cuberです。大学に入ってからいろんな種目に手を出していき、全シュモクザメを意識するようになりました。

現在は大会の機会が少ないため全種目制覇はまだできていないので、来年の目標は公式全種目制覇としたいと思います。

シュモクザメが気にするべき指標などを紹介していきたいと思います。

シュモクザメとは?

文字通り全種目やっている人のことです。明確な定義があるのかは不明ですが、公式全種目の記録を持っていることが基準の1つでしょうか。しかし、とりあえず記録を持っておくだけでは足りないと思っています。例えば、僕は約1年前の大田BLD2022冬ではとりあえず記録を残すためにMBLDに参加し、2/3の記録を残しました。しかし、これに関しては反省しています。やはり、全シュモクザメたるもの全種目に本気で取り組むべきだと考えを改めました。当然、より良い解法や覚えるべき手順があるなら覚えるべきです。

各種目について

各種目の解法や覚えるべき手順について語っていこうと思います。

注: ここで挙げられている最適な解法はあくまで世界のトップ層が使っている技術などを鑑みて述べているのであり、筆者もすべてを習得できているわけではありません。また、一概にこの解法が良いというのが定かではない場合もあるので、参考程度にしてください。

3x3x3

最適な解法: CFOP (またはRoux)

覚えるべき手順: F2L OLL PLL +α (ZBLLなど)、 RouxであればCMLL EOLR

習得すべき技術: CN、先読み

3x3x3はいろんなサブステップが研究されており、取捨選択も必要ですがなるべく覚えたいところです。自分はまだZBLLを少し覚えたぐらいです。

2x2x2

最適な解法: EG

覚えるべき手順: CLL EG1 EG2 +α (TCLLなど)

習得すべき技術: 完読み

自分は2を本格的にやったことがなく上に挙げた手順もまだ覚えていないので(はよやらなきゃ)、詳しいことは分かりませんが、CLLとEG1とEG2を覚えるところからスタートでしょう。

4x4x4

最適な解法: Yau

覚えるべき手順: OLLパリティ、PPPLL、特殊なL2Eなど

習得すべき技術: 先読み、OPA

やはり多分割は先読みが大事ですね。OPAはできた方が良いと思いますが自分もまだできません。(トップ層もあまり使っていないので難易度は高いと思います。)

5x5x5~7x7x7

最適な解法: Yau (またはReduction)

覚えるべき手順: L2C、L2E、Pure OP

習得すべき技術: 先読み

YauかReductionかは分かれるところですが、近年の傾向としてはYauが伸びてきていますね。しかし圧倒的WRのMax ParkはReductionを使っています...。YauのL8Eはいろいろな揃え方がありますが、4つをフリースライスで揃えてからR U' R2' U' Rで後ろ2つを埋めるのが無難だと思います。自分はYau5もやってましたがこれが楽だと思い変えました。

OH

最適な解法: Roux

覚えるべき手順: CMLL、EOLR、EOLRb

習得すべき技術: FB・DR読み、SBの先読み、4c読み

インスペクションでDRが読めると強いです。OHは止まらないとかなり速いタイムが出るので、先読みはとても大事です。4c読みの方法にはDFDBとBUがありますが、自分はまだDFDBしか実用レベルにないので、EOLRbが使えた時などは逆に止まってしまうことがあります...。

Clock

最適な解法: 7-simul (Tommy式)

習得すべき技術: 先読み、開始面ニュートラ

自分は通常のFlipを使っていましたが、7-simulに移行しました。Tommy式よりも計算が簡単なbpaulという方法もありますが、速いのはTommy式の方です。

Megaminx

最適な解法: F2L→S2L(Westlund式)→LL

覚えるべき手順: メガ特有のスロットイン、PLL、OLL(?)

習得すべき技術: 先読み

スターの色とS2Lの順番は固定しましょう。メガPLLは最近流行っていて制覇する人も増えているのでこの機会に覚えてみてはいかがでしょうか。

Pyraminx

最適な解法: Vファースト

覚えるべき手順: L4E +α (ML4Eなど)

習得すべき技術: 完読み

かつてはトップファーストが主流でしたが、今はVファースト一択です。L4Eはそんなに難しくないですが、効率的にVを作ることと、その上で完読みすることが難しいです。自分も完読みはほとんどできません...。

Skewb

最適な解法: 完全一面→CLL

覚えるべき手順: CLL

習得すべき技術: 完読み

こんなこと書いてますが、自分は未だにSarah中級を使っています。CLLを覚えるのはかなり大変ですが、逆に覚えて使いこなせればかなり強いと思います。3手順ぐらいでCLL諦めた人の感想

Square-1

最適な解法: Vandenbergh

覚えるべき手順: CSP、OBL、PBL

習得すべき技術: Cale式分析、OBLP(?)

CS→CO→EO→CP→EPでもそれなりには速くなれますが(自分も実際も大抵そんな感じで解いています)、高いレベルを目指すならCSP、OBL、PBLを使えると強いです。OBLPはそもそも世界で1人しかやっている人がいないのでスクエアに人生をかけないと習得できないかもしれませんねw

FMC

最適な解法: DR

覚えるべき手順: よく使うエッジコミュテーター、2e2c

習得すべき技術: Insert、NISS、Hyper-Parity

自分もあまりDRが得意ではないのであまり言うことがありません...。

3BLD

最適な解法: 3style

覚えるべき手順: 3style、EO、CO、コーナーパリティ +α (フローティング、LTCTなど)

習得すべき技術: オーディオペア、レターペア、交換分析

日本語ナンバリングは音記憶をする上では良くないので英語ナンバリングにするのが近年の流れです。

4BLD・5BLD

最適な解法: 3style

覚えるべき手順: 3style、ウィングパリティ

習得すべき技術: 場所法

3BLDと基本的には変わりません。3BLDのようにオーディオペアが使えるとセンターも音記憶できるみたいです。また、トップ層は多分割でも交換分析しています。自分はセンター音記憶ができず、コーナーファーストなので交換分析もできません。

MBLD

最適な解法: 3style

習得すべき技術: 場所法

解法的には3BLDに加え必要な知識はありませんが、どう記憶するかがこの種目の肝だと思います。場所法アンチの自分もさすがに場所法を採用しました。記憶しやすいブロックの分け方、復習の回数などを自分で見つけてみましょう。

全種目力を表す指標

さて、みなさんが気になっているのはここからではないでしょうか。いわゆる"全種目力"を表す指標を紹介していきたいと思います。

Sum of Ranks

文字通り、各種目のランキングの合計です。WCA StatisticsやCubing Chinaで見ることができます。

https://statistics.worldcubeassociation.org/sum-of-ranks

cubing.com

Cubing Chinaのサイトでは一部の種目のみを選択したりできるので、いろいろいじって試してみると面白いと思います。

しかし、Sum of Ranksには欠点があります。競技人口に大きく左右されることです。例えば、僕は4BLDの平均が日本4位ですが、そもそも記録を持っている人が9人しかいないため、記録を持っていない人(10位扱い)と6しか差をつけられません。一方3x3の平均は日本94位ですが、僕より1秒速い人は日本58位です。(もちろんスピードキューブにおける1秒は大きいですが...)種目により差があるのは明らかでしょう。

Kinch Rank

wca.cuber.pro

Sum of Ranksの問題点を解決しようと作られたのがこのKinch Rankです。Kinch Rankは各種目において(1位の記録/自分の記録)*100を計算し、これの平均をとったものをスコアとして扱います。1位の記録(日本のKinch RankであればNR、世界のKinch RankであればWR)であれば、この値は100になりますし、記録を持っていない場合は0になります。

ちなみに競技人口に左右されない指標ではありますが、BLD系種目が強い人が有利になりがちです。上級者と初心者の差が大きいからです。

Nemesis

www.nemesizer.com

Nemesisとは、すべての種目の単発および平均が自分より優れている人のことです。つまり完全上位互換ということですね。上のサイトで自分の名前を入力すると、Nemesisが何人いるのか調べることができます。

ちなみに、SumさんがNemesisに関する記事を過去に書かれているのでご覧ください。

sumblog.net

Sum of RanksやKinch Rankのゴールは1位になることで、1位は1人しかいないので難しいと思います。しかし、Nemesisに関するゴールはNemesisを0人にすることです。Nemesisがいない人は1人とは限らず何人もいます。このように考えると、Nemesisが上2つの指標と異なる点は、ゴールが比較的到達可能ということだと思います。

とはいうものの...世界には狙い目のないバケモノ全シュモクザメがいます。Sumさんの記事にあるように、日本の選手はこれという狙い目があります。しかし、世界にはそんなものが1つもない選手が何人かいます。特に得意な種目を1つ作って、頑張って抜かしましょう。

ちなみに僕のnemesisは世界に21人います。厳しいですね。

最後に

ということで、全シュモクザメとして気にするべきことをいくつか紹介しました。やっぱりどの種目もやってみると奥が深くて、いろんな種目の魅力を知ってほしいなと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました!