OH Rouxを練習してみて

※この記事は2021年12月10日に書いた記事をはてなブログに掲載し直したものです。

 

Speedcubing Advent Calendar 2021の10日目の記事です。9日目の記事はadidomeさんの「目隠しでキューブアート!」でした。11日目はけいていさんの「3BLDを10秒で記憶したい!」です。


どうも、鉄Cuberです。普段はYouTubeで解説動画を投稿しています。ということで今回は初めてアドカレを書いていこうと思います!テーマは「OH Rouxを練習してみて」です。9日目の記事まですべて読ませていただきましたが、どれも素晴らしすぎて、この中に自分の記事が入るのが少し怖い気もしますが、頑張っていこうと思います。

OHでZZ Method

もともと自分は片手をほとんどやっておりませんでした。両手のタイムはCFOPで11秒~13秒ほどでしたが、片手はだいたい50秒ほど。まともにキューブを回せないわけ(R'が回せない!)で、この競技を頑張る気にはなりませんでした。おそらくこれが片手があまり流行らない原因なのだと思います。

ある日、ZZ Methodという解法と出会います。だいたい今年の3月ごろだったと思いますが。詳細は僕の動画をご覧ください。簡単に言うと、EOを先に合わせてから揃える解法です。こうすることで、F2Lでの持ち替えがなくせて(RULgenで揃えられます)、OLLも十字OLLしか出てこないので、COLLやZBLLと相性が良いのです。ということでZZ Methodを使って片手を頑張ってみることにしました。少しモチベは上がり、平均35秒ぐらいまでは到達することができました。できなくて嘆いていたR'も一応できるようになりました。そして何より、他の人とは違う解法で解くことが楽しかったですね。人と違う方法で速くなったらカッコいいじゃないですか。

かといってモチベがそこまで高いわけでもなく、結局両手や多分割など他の競技に時間を割くことになりました。

OH Rouxとの出会い

実はZZ Methodを学んだのと同じぐらいの時期にRoux Methodも学んでいました。この時から自分はRoux Methodがすごく好きでした。ブロックビルディングと最後のM列めっちゃ回すのがたまらない!両手のタイムはCFOPの方が速いので、CFOPがメイン解法ではあるのですが、RouxはRouxで練習していました。Roux Methodも解説しておりますので、学びたい方はぜひご覧ください。かなり評判が良くて嬉しく思っています。Roux Methodを全く知らない向けに一応流れを説明しておきます。分かる方は飛ばしてもらって結構です。


①FB(First Block)
左側に1x2x3のブロックを作ります。作り方は自由です。

②SB(Second Block)
右側にもう1つ1x2x3のブロックを作ります。基本的にはU,R,Rw,M系の動き(FBを崩さない動き)で揃えます。

CMLL
上面の4つコーナーを揃えます。42手順あります。

LSE(Last Six Edges)
残り6つのエッジを基本的にはM,U系の動きのみで揃えます。このステップはさらに3つに分けることができて、

4-1 EO
6つのエッジのEOを合わせます。

4-2 LR
UL,URのエッジを揃えて、残りはM列以外を揃えます。

4-3 L4E(EP)
残りの4つのエッジを揃えます。


ご覧の通りM列を多用するので、片手には向かないのかなーと漠然と考えていました。しかしどうやら、Rouxは片手に良いらしい(理由は後で説明します)。片手の世界ランキングを見てみましょう。

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OHのWR

この写真の中で、赤枠で囲っている方がRoux使用者です。とはいえRouxの普及度から考えるとかなり多いですよね。特にKianがWRをとったのは印象的でしたね。ということで8月の頭、本格的に片手Rouxに移行することを決心しました。この方法で速くなることができると思うと、とてもワクワクしますよね。というのも、日本ではまだ片手Rouxが浸透しておらず、上位層は専らCFOPです(最近では日本でも片手Roux速い人も増えてはきましたが)。もしRouxで日本上位に上り詰めることができたら...めちゃくちゃカッコいい!!!

練習するぜ!

OH Rouxを練習してみました。やはり最初に難しいのは、机を使うM列の回し方だと思います。右下の辺を机につけて、M'は薬指ではじくように、Mは小指を手前に持ってきてはじきます。Rwの動きと似たような感覚ですね。最初はRwになってしまうと思います。僕も最初はそれに悩まされました。しかしこれに関しては、頑張って練習するしかないですね。逆に練習すれば絶対にできるようになります。頑張りましょう。ということでRouxを練習してみると...なんとなんと!練習して2日目でZZでの記録を抜かしてしまいました。モチベーションが上がったのも確かにあるのですが、Rouxのポテンシャルすごい!

ここで、なぜRouxが片手に良い解法なのか説明していきたいと思います。

・そもそも手数が少ない

RouxのF2BはCFOPのF2Lと比べて自由度が高く、先読みがしにくい代わりに手数が少ないです。

・先読みのしにくさがあまり欠点にならない

CFOPと比べて先読みのしにくいRouxですが、片手では回すスピードが両手より遅いので、先読みのしにくさがそこまで欠点になってきません。

・SBが回しやすい

先述の通り、SBは持ち替えずにU,R,Rw,M系の動きを使って揃えるので、片手で非常に回しやすいです。

LSEも回しやすい

LSEはM列を使うので一見回しにくいように見えますが、基本的にはM,U系の動きのみを使って揃えるのでホールドが一切変わりません。


というわけで、Rouxは片手では非常に優秀な解法です。こんな素晴らしい解法を使わない手はないですね。この時から徐々に片手をやる時間が増えていき、両手をほとんどやらなくなってしまいました(さすがに大会が近いので両手も練習しようと思います...)。OH Rouxを始めたころはだいたい30秒ぐらいでしたが、今では平均タイムが20秒に近づいてきました(それもOH CFOPではsub25できないレベルの僕が!)。

OH Roux入門編?

さあ、OH Rouxを始めるにあたって基本的なことを動画で解説しました。今この動画を見ると、なんか回し方がぎこちないなあとも思いますが、内容に関しては問題ないと思います。この動画でも一通り説明しているのですが、一応OH Rouxの基本をまとめたいと思います。

・ホールド・基本の指使い(CMLLまで)

まずは自分の方法を紹介します。左手の親指で左手前の2x2ブロックをおさえ、中指で左後ろの2x2ブロックをおさえます。R(とRw)は薬指でトリガー、R'(とRw')は小指を手前に持ってきてはじきます。僕もあまりできませんが、R2を小指→薬指のダブルトリガーでできるとなお良いです。U'は人差し指でトリガー、Uは人差し指を手前に持ってきてはじきます。基本はこのようなRU系の動きを使って揃えることになります。

中指・薬指の細かいホールドの仕方は人によって異なるので、自分のやりやすい方法を選ぶと良いでしょう。自分はRを薬指で回しますが、一般的には小指を使うそうです。

・FB

なるべくインスペクションで完読みしましょう。僕も毎回はできませんが...。少なくとも1x2x2は読んで、残りの2パーツがどこにあるか確認しましょう。あと片手で回しやすい解き方を見つけられると良いですね。Dの代わりにUwを使うと回しやすくなることがあります。

・SB

R、Rw、M、U系の動きなので片手では回しやすいはずです。なるべく先読みして止まらないように回しましょう。

CMLL

最初は両手と同じ手順で大丈夫です。慣れてきたら片手用の手順も覚えてみましょう。

LSEの指使い

LSEではM列を回すことになりますが、R面が回らないように右下の辺を机にあてて回します。M'は薬指でトリガー、Mは小指を手前に持ってきてはじきます。僕もあまりできませんが、M2'は小指→薬指のダブルトリガーでできるとなお良いです。先ほども書きましたが、Rw系の動きと似たような感覚で回します。U面は先ほどと一緒です。

・センター交換のパターン

センター交換は両手ではE2を使ったりMU系の平面交換(Double Swap)を2回使う手順が一般的ですが、片手ではE2の代わりにS2を使うのがおすすめです。

さらに練習したこと

OH Rouxの基本を押さえたうえで、さらに練習したことをいくつか話したいと思います。

・片手用CMLL

片手で回しやすいCMLLを両手用の手順とは別に覚えました。Kian氏のサイトの手順を参考にしました。自分が使っている片手用CMLLを動画にまとめてみたので、こちらもぜひご覧ください。

・EOLR

EOとLRを同時に揃えるサブステップです(本当はちょっと違うのですが、簡単のためこのように言っておきます。詳しくはタニシさんの記事をご覧ください)。判断が難しいので両手で使うのは難しいですが、片手では重要になってきます。これを使うとLSEの処理が非常にすっきりするので、EOLRが使えるとかなり楽しいです。現在、全パターンのうち半分ぐらいは使えるようになりました。残りのパターンも習得していきたいと思います。

あとEOLRはサブステップではあるのですが、CFOPにおけるLL手順というよりは、F2Lに近いものですので、そこまで習得の難易度は高くないと思っています(だからこそ逆に難しいという考え方もあるとは思いますが)。

・先読み

F2BやLSEでの先読みをソルブ中に意識しました。これに関しては何かを学ぶというより、練習を積み重ねて得られるものなので、とにかく回数を重ねました。

・指使い

片手における指使いを洗練させます。特にMは難しいので練習が必要です。あと自分の場合M2'とR2のダブルトリガーが苦手なのでなるべくダブルトリガーを使うよう意識して練習していきたいと思います。

FBにおいて片手で回しやすい指使いを見つけることも意識しました。指使いを洗練させるのも大事ですが、回しやすい指使いで解くことも重要です。SB以降は基本的に回しやすいので、ひたすら練習です。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。OH Rouxに興味を持ってもらえれば幸いです。今までCFOPしかやっていなかった方は、Rouxをやることは少しハードルが高いと感じるかもしれません。しかし、誰しもがやってみる価値はあると思います。もちろん何が楽しいと感じるかは人によって違いますが、自分の場合はRouxにしてから片手が本当に楽しくなりました。一人でもOH Rouxをやる方がこの記事によって増えることを願っています。そして最後に宣言をします。

OHでNRをとってみせます!!!
先述の通り日本ではまだOH Rouxはそこまで流行していません。そこで僕がNRをとって、日本にRouxを流行らせてやります!これを見た方は「本当にお前にできるのか」と思っていることでしょう。確かに伏見さんや洲鎌さんなどのトップ層に同じCFOPで対抗すると太刀打ちできないでしょう。しかしRouxだったら、片手でトップに上り詰めることができる、そんなポテンシャルがこの解法にはあると、強く信じています。

最後に、現時点での自分のOHのソルブを載せて終わりにしたいと思います。

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